
登記原因証明情報を作成したいのですが、どのように書けばよいですか?



表現方法として「どのように書くのか?」は重要ですが、
「何を書かなければならないのか?」の視点を忘れないでくださいね。
特に、「2 登記の原因となる事実又は法律行為」においてその視点は重要ですよ!
下記では、その点について解説します!


登記原因証明情報の内容となる要件事実
「何を書かなければならないのか?」は、言い換えると、「要件事実は何なのか?」を考えることになります。
登記原因が法律行為の場合
①当該法律行為
②これに基づく物権変動を証明するに足りる要件事実
登記原因が法律事実の場合
①要件事実そのもの
売買契約と同時に所有権が移転する場合の登記原因証明情報
売買契約と同時に所有権が移転する場合の登記原因証明情報において、書かなければならない要件事実は、次の2点です。
① 売買契約が締結された事実
② 所有権が移転された事実
この2点が記載されていない場合、どんなに素晴らしい日本語で表現されていたとしても、登記原因証明情報としては不適格です。
要件事実は、どのように確認できるのか?



要件事実は、どのように確認できますか?



民法等の実体法を確認します。



もう少し簡単に確認できる方法はありますか?



「不動産登記添付情報文例集」であれば、「作成上の注意事項」を見れば確認できますよ!
民法を確認します
例えば、売買契約の要件事実は、民法555条によると、
①目的物の移転約束、②代金の支払約束 となります。
(売買)
第555条 売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
不動産登記添付情報文例集
(編集 不動産登記添付情報研究会 発行者 新日本法規出版株式会社)
「不動産登記添付情報文例集」であれば、「作成上の注意事項」を見れば要件事実を確認できます。
例えば、生前売買で売主に相続が開始した場合(登記未了のうちに売主が死亡した場合の売買による移転の場合2)については、次のように記載されています。
不動産登記添付情報文例集p392
作成上の注意事項
売買契約締結後、所有権の移転登記をしない間に売主が死亡した場合の報告的な登記原因証明情報には、①売買契約が締結された事実、②所有権が移転した事実、③登記義務者である売主に相続が発生した事実及び相続人が記載されていれば足り、売買代金の金額及び支払われた事実まで記載する必要はありません。
買主名義への登記は保存行為(民252だだし書)に該当することから、所有権の移転登記は、相続人のうちの1人から申請することができます。
なお、登記原因の日付は、売買契約締結日です。
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