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条文
不動産登記令
(申請情報の作成及び提供)
第四条 申請情報は、登記の目的及び登記原因に応じ、一の不動産ごとに作成して提供しなければならない。ただし、同一の登記所の管轄区域内にある二以上の不動産について申請する登記の目的並びに登記原因及びその日付が同一であるときその他法務省令で定めるときは、この限りでない。
不動産登記規則
(一の申請情報によって申請することができる場合)
第三十五条 令第四条ただし書の法務省令で定めるときは、次に掲げるときとする。
(略)
八 同一の登記所の管轄区域内にある一又は二以上の不動産について申請する二以上の登記が、いずれも同一の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記であるとき。
九 同一の不動産について申請する二以上の権利に関する登記(前号の登記を除く。)の登記の目的並びに登記原因及びその日付が同一であるとき。
十 同一の登記所の管轄区域内にある二以上の不動産について申請する登記が、同一の債権を担保する先取特権、質権又は抵当権(以下「担保権」と総称する。)に関する登記であって、登記の目的が同一であるとき。
ざっくりイメージ
令4本文
記載ミス・登記実行ミスを防ぐために、嘱託書に記載する情報(客体・主体・登記事項)は、
原則としてそれぞれ一つに絞って、嘱託書を作成してください。
令4但書
客体を複数にするなど、複数の情報を一つにまとめて(一括して)もよいですが、要件を定めているのでその要件をチェックしてください。

Ⅰ 〜 Ⅲ に共通する基本要件のイメージ
基本要件① 管轄登記所の同一
基本要件② 登記の目的が同一
基本要件③ 登記原因及びその日付が同一
基本要件④ 申請人(権利者・義務者)が同一
Ⅰ 客体が複数の不動産となる場合
(イ)4つの要件(令4但書)
(ロ)要件を2つ省く+1(規則35⑩)
Ⅱ (客体は1つの不動産が前提で)主体が複数当事者の場合
(ハ)3つの要件(規則35⑨)
条文上、「同一不動産について」とあるので、基本要件①管轄登記所の同一は当然にみたす。
残り3つの要件を検討する。
Ⅲ (客体は1つの不動産が前提で)登記事項が複数の場合
(ニ)3つの要件
(ホ)名変登記は特別に処理してよい(35⑧)
(ニ)登記事項が複数とは、1つの不動産について複数の登記をする場合を想定しているので、
基本要件①管轄登記所の同一は当然にみたす。残り3つの要件を検討する。
(ホ)客体が2以上の不動産でもよいが、基本要件①はみたすようにしてください。
また、名変登記は単独申請であり権利者・義務者はいないので、同一登記名義人と
いう表現にしました。
なぜ、名変登記は特別に処理してよいとしたのか?
名変登記は、権利変動による登記ではないため。
(この意味については、次の記事中の「時系列に沿って登記する必要がないのはなぜ?」を参照してください。)
この記事で伝えたいこと

上記ざっくりイメージの表現は、分かりやすさを優先したため正確性に欠ける部分があります。
本記事で伝えたかったことは、情報をまとめて(一括して)嘱託書を作成してよいのか迷ったときは、”要件をチェックして考えましょう!”ということです。
次回の記事からは、(イ)〜(ホ)についての要件を検討していきたいと思います。
Ⅰ(イ)4つの要件(令4但書)
Ⅰ(ロ)要件を2つ省く+1(規則35⑩)
Ⅱ(ハ)3つの要件(規則35⑨)
Ⅲ(ニ)3つの要件
Ⅲ(ホ)名変登記は特別に処理して良い(規則35⑧)
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